「鉄之助。…俺の最後の頼みだと思って受けてくれ」



青年から見たその男は、鬼の副長でも何でもなかった。


初めて見たとき、周りはそんな噂を立てるものだから。

怯えた眼差しでその目鼻立ちの整った武士を前に挨拶をしたのだが。



『期待している』



そう言って柔らかく微笑んでくれたのを覚えている。



「───土方さん…!あなたは俺の憧れの武士です…!!」



振り向かず男は去っていく。


見えなくなるまで頭を下げて、1枚の写真を握りしめた。

あの人はどうなるんだろう。


いつも土方さんの隣にいる小姓。


俺が知るよりもずっとずっと前から土方さんを見てきた人。

出来るなら、ずっとあの2人が並んでいるところを見ていたかった。


だって土方さん、あの人に惚れているでしょう。



「時折さん…」



きれいなあの花を咲かせてあげられるのは土方さんしかいないのに。


時折さんが花なら、彼は水。

そして反対に彼が花なら、時折さんは水。


そんな2人は一緒に居なければ駄目でしょう。


───ねぇ、土方さん。