窓から見る景色は俺の知るものとは違う。

白い山々に広がる海、広い高原。

通る度に目を奪われるその風景を、あいつらとも見たかった。


どんな顔をすんだろうな。


近藤さん、総司。

俺もきっともうすぐそっちへ行くだろうから、のんびり酒でも酌み交わしながら待っててくれ。



「土方君、」



大して歳は変わらねえのに君呼びはどうかと思うぞ俺は。

だいぶ疲れが出てきた顔で俺に資料を渡す大鳥さんは、この窓から見える景色すらもゆっくり眺める余裕のない顔だった。



「次の戦、土方君には五稜郭を任せたい」



───五稜郭。


そんな大役を任される程に俺は成果を出していない。

旧幕府軍はもう、新政府軍に打ち勝つどころか追い返すだけで精一杯な状況だった。



「榎本さんは降伏を考えているらしい。…だが君はそんな男じゃないと知っているから、僕は土方君に五稜郭を任せる」


「…承った。」



もう、そろそろか。