たくさんたくさん、思い出を見たの。

それでたくさん、あなたの声を聞いた。


今まで知りたかったことぜんぶ、知れた。



「愛されていたんだって……、私、愛されてたよ……っ」



誰かの手が私を掴んで、暗闇の中から引き摺り出してくれた。

その手を握り返した先に、あなたがいた───…。



「…かえってきたよ、…ここに…、かえってきた」



はにかむ女は、とてもきれいだった。




「───…あぁ……、…おかえり」




鉄之助。

俺は質問の答えなんざ、本当はとっくに決まってたんだ。


最低でもいい。
世に抗ったっていい。

それでも俺はこいつの傍に居たい。



「ふふっ、…そんなに握らなくても離れないよ」


「…うるせえ。…心配かけさせやがって」



そっと梓は俺の頬に伝う涙をすくった。


いつか離れるときが来ても、お前の幸せの先に俺が居なかったとしても。

それでもお前だけは絶対に守って死なせやしない。


これが俺の最後の誇りであり、信念。

そして俺の───…誠。



「泣かないで土方さん」


「…泣いてねえよ」



その笑顔を守る為なら俺は全部捨てられる。

例え近いうち、その笑顔がお前にとって哀しみの涙に変わったとしても。

それでも俺は……。


だって、


お前が居る場所は、俺の帰る場所でもあるから───。