こちらが勢力を上げれば、敵はそれ以上で構えてくる。

それならもっと策を練って頭を使ってその倍を。


戦とはそういうものだった。


船から攻めて来る者は見たこともない大きな大砲を掲げ、容赦なく陸地へと発泡。

海軍の者も陸軍の者も一緒になって戦った。



「土方指揮官っ!海軍指揮官から撤退の命令です…!!」


「チッ。腰抜け海軍様の指示なんざ聞いてられるかってんだよ」


「しかし…!」


「ここは戦場だ、戦わねえってのは降伏と同じなんだよ。ここは陸地、そこの指揮官は俺だ。───全員俺に続けッ!!」


「は、はいっ!!」



その中でも土方さんは声を上げて指揮をする。


約束したもんね、朔太郎。


私は立派な武士になってみせる。
朔太郎がなったように。

あなたが最期まで沖田さんの小姓として駆け抜けたように。


私は土方さんと一緒に駆け抜けるよ。


だから見ていて。



「時折君くれぐれも無茶はしないでくれよ!敵を目にしたらすぐに戻って来てくれ…!」


「必ず届けます!土方さんが居る場所まで行けば安心ですから…!!」



18歳になろうとしていた私の元へ、敵陣は容赦なく発泡をする。


走り抜けろ、背中は見るな。
振り返らず、ただ走れ───。


土方さんがよく言っていた言葉。



「あいつに弾を運ばせるな…!!」



走り続けたそんな先。


キィキィ───と、鳴く1匹。


足を引き摺る小さな子狐は、親を探して回る子供のようだった。