淀城へたどり着いたとき、その城の将軍率いる旧幕府軍兵士もみんな顔には疲れが生じていた。

援軍として新撰組が来たとしても迷惑そうに見つめるだけ。



「朔太郎、救急箱貸せ。梓の手当ては俺がする」


「えっなんでや土方さん!俺の方が得意やで!」


「いいから貸せ」



それでも戦は終わらない。

どんなに刀を持って走っても変わらない光景に、隊士達も既に諦めという言葉を胸に抱えるようになっていた。


───負け戦。


どこからかそんな噂が広まって、どうせ幕府はいずれ終わるとほざく者も増えた。



「副長!近藤局長から文が届いています!」



それから数ヶ月して、近藤さんが戦えるほどの回復をしたという知らせが届いた。

今も近藤さんは大坂城に居るのだが、もしかしたら近々こっちで合流するかもしれない。


近藤さんが来ればきっと、きっとこの戦にも光が見えてくるはずだ。



「…大坂城へと戻る」



副長の決断に「また逃げるのかよ!」と、永倉と原田の荒ぶった返事が聞こえた。