『…離しなさい。梓、最後くらい……親の言うことを聞かんか───!!』



どこまでも着いていこうとした。

その先が地獄でも、その先に光など無くとも。


それが使命であり、子が親を守る。



『俺に父親を味わせてくれて…ありがとう』



いつだって私は彼を自分の親に重ねていた───。



『ばーか。お前はずっとそうやって笑ってればええのに』


『ほんまに梓は俺がおらんと腰抜けやわ』



共に居れることが最大の安心だった。


1人が駄目なら2人で。


どんどん抜かされていく兄弟と、それでもずっと走れると思っていた。

関わらなければ良かった。
あの時、断っていれば良かった。



『俺、お前が……好きやった…』



そんな後悔がいつも私の胸の内側に存在する───。