「お前の処遇は明日言う。それまで下手なことしたらガキだとしても容赦しねえからな」


「こ、殺されるんですか…?」


「…それも頭に入れとけっつう事だ」


「…もう死んでるのに」



背中を向けた男の足が止まった。

近藤さんも黙って私を見つめている。



「トラックに轢かれて死んだんです」


「…とらっく?」


「…事故に遭って、…死んだからここに来たんです」



生きていても死んでいてもいい人、今の私はそんなもの。


だって新撰組って過去の人達だ。
詳しくは知らないけど聞いたことがある。


それに最初この町に来た時、丘の上から一際目立って見えたものがあった。

神社やお寺。
まるで観光に来てしまったような感覚だった。



「とらっく…?それは、なんだ…?」



尋問ではなくて質問。

怖い男から優しい男へと変わって私に聞いてきた。


「トシ」ではなく「近藤さん」が見つめてくれる。



「くるま…」


「くるま…?何かの道具なのか?」



どうして伝わらないのだろう。

そんなの知ってて当たり前なのに。


あ───…そういえばこの町で車や電車を1度も目にしていない。