命だ。

───新しい、命。


赤紫色をした新生児は母体から出て酸素を吸うと、思いっきり声を上げる。

手拭いで体を拭いてやり、女中はへその緒を切った。


本当に母と子はこうして繋がっていたんだ…。



「やった、産まれた……土方さん、この子生きてる…っ」


「…あぁ」



手拭いを顔から外し、改めてその子を腕に抱く。

すごく重い。
これが、命。



「おぎゃぁぁぁぁぁぁーーーっ」



母親も無事、命に別状は無かった。

けれど最後の一瞬でかなりの力を振り絞った為に今は目を閉じている。



「よく……頑張ったね…」



力を加えてしまったら潰れてしまいそうで怖かった。

そんな震える腕を背後からしっかりと支えてくれたのは土方さん。

腕の中で、大きな口を開けて赤子は涙を流す。



「梓、これが命だよ。この家族を俺達が繋いだんだ」



近藤さんはそう言って目元を拭った。



「…あったかい…」



命の重さは、何よりも尊いものだ。