ピク、思わず動きが停止する。


職場で言えば同期のような後輩のようなこの少年は、距離が近くそれでいて私を女だと知らない。

それに大人ばかりの新撰組、私だって十分に子供で居れたのに。



「さ、先に入ってきて朔太郎…!」


「なんでや!一緒に入ろうやーー!」



どうやらこの少年の前では、そうはいかないらしい。

歳が近いというのもとても厄介だ。



「もう会議は終了。それに、土方さん凄い怒ってるからね2人共」



調理場に顔を出した沖田さんは、ため息を吐いて私と朔太郎の頭を軽く叩いた。


仕事は私が教えるようになっている。

下の者の失敗は上の者の責任。


沖田さんはそう言うかのように、「土方さんが呼んでるよ梓」と名指しで指名。



「どうして僕だけ…」


「なら俺も行くわ。こぼしたの俺やもん」


「朔は早くお風呂入ってきて。そのあと頼みたい仕事があるから」



助かった……。

沖田さんはいつもとても良いタイミングで現れてくれる。

いつまでこのやり方で乗りきれるのかは不明だが、なんとか事なきを得た。