浅葱色の約束。

沖田side




「いいか、金輪際あいつとは関わるな」


「…はい」


「5日間てめえは厠(かわや)の掃除だ」


「は、はい…」


「戻ってよし」



案の定土方さんのお説教を長々と食らった梓は、複雑そうな顔をして頭を下げた。

とぼとぼ歩いていく背中がいつも以上に小さく見えて。


追いかけようかと迷ったが、土方さんの安心したようなため息に、もしかしたら僕と同じ気持ちなんじゃないかと思って。



「不安だったんでしょう土方さん」


「…なんの話だ」


「嫌だな、それしかないでしょ」



あの子の隣にいる坂本 龍馬を目にしたとき。

敵だからとか、そういう理由だけじゃなくて。

一番に思ったことはきっと僕と同じ。



「…“取られる”って思ったんじゃないですか」



坂本 龍馬にあの子が取られてしまうって、少なくとも2人を見たときに僕はそう感じた。


あの男は誰にも持たないような何かを持っている。

それは僕も土方さんも、もしかしたら近藤さんすらも敵わないほど。