私は空いている先輩の隣に座る。
「先輩、わざわざこっちまで来てくれたんですか?」
徒歩で来れる距離とはいえ、駅と学校、私の家はほぼ一直線上にある。
だから遠回りどころか引き返すことになるのに。
「うん…本当は学校で聞こうと思ったんだけど、どうしても気になって」
先輩は本気で心配してくれていたようだ。
私だけがその裏にある心を読もうと必死だった。
「大丈夫です。誤解も解けて円満に解決してきました。ご心配をおかけしました」
「そっか、良かった」
先輩は安心したように長く息を吐いた。
きっと先輩は分かってない。私が乗り越えられたのは先輩のおかげでもあるってこと。