「はぁ~」
『先にお風呂にどうぞ』と言ってくれた香織さんの言葉に甘えて、私は今、1番風呂に入らせてもらっている。
それでも、永瀬くんもこのお湯につかるのかと思うと、緊張は解けない。
できれば嘘だと言ってほしい。
夢であってほしい。
ここが、永瀬くんの家だなんて……。
あれから、3人で夕飯を囲んだ。
だけど、永瀬くんはやっぱり学校での永瀬くんそのもので。
私とは一度も目は合わず、ただ黙々とご飯を食べていた。
香織さんは一生懸命会話を振ってくれていたけど、なにを話したかよく覚えてない。
お母さんが、永瀬くんのお母さんと知り合いだったなんて、どれだけ世界は狭いんだろう。



