「おっかえり~」


「お疲れ~!」


教室に戻ると、裏切った面々がニヤニヤしながら俺を出迎えた。


「ふざけんなっての」


俺は椅子にドカッと座った。


「久々じゃねえの? 突撃告白」


「ああでもしなきゃ、朔にはコクれないからなあ」


「女子もいろいろ大変だよな」


何が女子も色々大変、だ。


大変なのは俺のほうだっての。


ダチのひとり、長谷川新太(はせがわあらた)が、俺の顔をまじまじと見ながらつぶやく。


「それにしても、ほんっとキレイな顔してるよなあ」


「……ぶっ殺す」


一番いけないのは、この”顔立ち”のせいだ。


『朔くんはほんとにかわいいわね~』


ほめ言葉だと思って向けられるそれは、俺にとっては吐き気がするほど嫌だった。