奏の顔は見る見る内に陶酔して行き、目がうつろになっていく。


あたしは心臓が早鐘を打ち始めるのを感じて後ずさりをした。


昨日と同じだ……!


昨日は大西さんが2人の男子にキスをして、こんな風に陶酔した表情になってしまった。


そして今日、男子たちは大西さんの言いなりだ。


これはただのキスじゃない。


そう感じた瞬間、あたしはその場から逃げ出していた。


ヒナが慌てて追いかけて来る。


「ちょっと、あれってどういうことなの?」


教室へ戻ってからヒナがそう聞いて来た。


あたしは肩で大きく呼吸をして、左右に首を振った。


「そんなの……あたしが聞きたいよ……」