「なにか変?」


あたしは首を傾げて質問する。


なにがおかしいのか理解できなかった。


どうして母親が青ざめているのかわからなかった。


混乱している内に父親が仕事から帰って来て、家の中は大騒動となってしまった。


「今から病院へ行くのよ」


「病院? どうして?」


「いいから、早く来て」


母親に無理矢理車の後部座席に乗せられ、父親の運転する車で病院へと向かう。


その間にも何度もどうしてなんでと聞いたけれど、母親も父親もなにも答えてくれなかった。


やがて車は病院に到着し、あたしはいやおうなしに診察室に通されてしまった。


母親が隣で必死にあたしの状態を説明すると、医者は深刻な表情を浮かべ、あたしの脳の状態を検査することになってしまった。


「なにするの? あたしは別に悪いところなんてないよ?」


必死に訴えかけても、誰も聞いてくれない。


両親はそんなあたしを見て泣きそうな顔をするばかりだ。