ヒナと遊星がいなくなった後も、しばらくその場から動くことはできなかった。


どうしてこんなことになってしまったんだろう。


どうにかして回避する方法はなかったんだろうか。


「そうだ柊真……前に言ってたよね。寄生虫を撃退する薬のこと。その薬が実際にあれば、きっとみんな元通りだよね?」


それは以前希望を感じていたことだった。


薬があれば寄生虫を……寄生している蟻を退治できる。


「薬なんてどこにある?」


柊真が座り込んだまま呟いた。


「え?」


「そんな薬どこにある? あればとっくに解決してるよな?」


「柊真……」


いくら友人たちを観察していたって、弱点はわからなかった。


日に日に仲間が増えて、別の女王蟻まで出現して縄張り争いが始まっている。


そんな中で薬の存在なんて、夢のまた夢だった。


寄生虫を撃退する薬なんて存在しない……。