どうしてここにいるんだろうと疑問を感じていると「近くに救急車が停まったから、駐在所から確認してたんだ。そしたら君たちと大山君が出て来たから、追いかけて来たんだ」と、説明してくれた。


「とても普通じゃない様子だけど、大山君は大丈夫なのか?」


「わかりません……」


あたしはうなだれて左右に首を振った。


体内から大量の蟻が出てきたとすれば、手術をして取り除くことになるだろう。


普通ならそれで終わりかもしれないが、大山君は洗脳までされているのだ。


簡単にことが終るとは思えなかった。


「尿検査の結果だけど、彼は陰性だったよ」


沈黙してしまったあたしたちに少しの希望を与えようとしたのか、話題を変えてそう言って来た。


しかし、あたしたちの心はその言葉でもっと深く沈んでしまった。


大山君から薬物は検出されなかった。


つまり、大西さんはキスした時に薬物を口に含んだりはしていなかったということなのだ。