身もだえしてベッドに倒れ込む私の横で、すでにもう一度寝ようとしている花平くん。




「つーかなんでそれ着てんだよ」

「 hello!」

「だから読み上げるなっつーの」




ひだまりのようなこの空間で、流れるような日々はもっとゆっくり進めばいいのにと思ってしまう。



それでも時間は平等で、そんな世界で生きていく私たちは。


これからきっと辛いこともある。

どうしようもできなくて泣いちゃうことも、怒っちゃうこともあるだろう。


人生ってそんなもの。

すべてがうまくいくとはかぎらない。



でもね。

そんな山あり谷ありな人生だからこそ、希望や幸せを見いだせる。



隣に大切な人がいること。


一緒にいてくれるだけで、辛いことはぜんぶ吹き飛んじゃう。



生きていてよかったと思えるような日々を、




これからもずっと送っていけますように。











「あ、でもあんまりこっち見ないでください」

「は?なんで」








「……黒髪の花平くんがかっこよすぎて身が持たないんです」

「へぇ、言ってくれんじゃん」



ぎしりと音を立てたベッドは寝る気だった花平くんの気が変わった合図。





不器用オオカミたちのひみつの同居生活は、
まだ始まったばかり。







『不器用オオカミとひみつの同居生活。』end.