ひゅっと笛の鳴るような音が耳に届き、ゆっくりと目を開けた。


辺りはまだ暗く、外からは激しい雨の音がする。


ベッドの上で身を丸めるそいつは、小さな手で布団を握りしめていた。



『ちゃんとその布団で寝てくださいね!』


強気で釘をさしていた先ほどの姿からは想像できないほどに、目の前の女は小さくなっていた。



「茅森」

意味がないとわかっていても、反射的にその名を口にする。


ベッドの近くまで行き布団の上から手を置いた。


かすかな震えが伝わってくる。


「ふっ……ぅ、」


苦しげに放たれる声は、どこか(すが)っているようでもあった。



こうなるのは初めてではない。


茅森はほぼ毎晩、こうしてうなされている。