ともあれそこのパジャマがどうやら女子に人気らしく、こっちゃんはそれをおそろいにしたがっていた。


おそろいって響きには惹かれるけど、お金が。


今月はあまりバイトに入れなかったし、花平くんからもらっているのは食費だ。

それに実家から送られてくるお金にはなるべく手を付けたくなかった。

そんなのは私の勝手なわがままだってわかってる。


だけど、と困っていたときだった。



すうちゃんがちらりと私を見て、食べ終わったばかりのパンの袋をくしゃくしゃっと丸めた。



「パジャマぁ?えー、すうお気に入りのパジャマあるもーん」


「すみれの薄情者ー!じゃあ他のものでなにかおそろいにできそうなのある?」


「いきなり言われてもなぁ……カヤ、なんか思いつく?」


2人分の視線が私に集中する。


え、な、なんだろう……


私もすぐには思いつかなくて、すこしだけ頭をひねる。



あまり高価な物じゃなくて、オリエンテーションに持っていける物……


ふと目に入ったのは、私のカバンで。


学校指定ではないものの味気ないカバンを見ていて、頭の中にアイデアが降りてきた。



「キーホルダーなんてどう?
カバンにつける、おそろいのキーホルダー」


どうだろうと思ったけど、ふたりはすごく賛成してくれたからほっとした。