【理音】



曲が出来上がり、それぞれ個人練習の後じいちゃんに聴いてもらった。



「予想以上」



嬉しい言葉をもらって、タカはじいちゃんに頼み込んで合宿の時のプロのミュージシャンに指導をお願いしていた。



厳しくてもうまくなりたい。



それが今の俺たち。



「金なら俺が出してやる。向上心のあるヤツは嫌いじゃねぇからな」



じいちゃんはそう言っていたけど、彼らにレッスンを頼むと、破格の値段だそうだ。



俺はじいちゃんから学べるし、スバルは自分でどうにかできる。



嵐生は歌詞もかかなきゃいけなくて、バイトもあって、練習の時間はほぼひとりでやるそうだ。



「ライブやろうぜ‼︎」



俺たちは動き出した。



まず、修平さんに認められることが必要。



嵐生もバイト代が入ったことだし…。



「修平さん、俺らの歌、聴いてください」

「なんだ?お前らバンドやってたのか?」

「はい。いつヒマですか?」

「明日の閉店後ならいいぞ」



スタジオを借りる予定でいたら、修平さんが貸してくれるとのことだった。



次の日のバイト終わり、緊張しているタカとスバルと、そして嵐生と。



いちばん大きいスタジオで。