景斗を呼び出したのは“アイドル”について教えるためだ。


これは郁に頼まれたことで、僕も近々話したいと思っていた。




僕と郁が出会ったのはアイドル養成所だった。

気さくな郁と意気投合して、仲良くなった。

僕たちは二人でユニットを組む約束をした。

「僕のパートナーは郁しかいないから!」

「僕もだよ」

でも、綿谷さんが入ってきてから状況が変わってしまった。

当初予定されていた僕たちのユニット案が白紙になった。

そして、僕と郁と綿谷さんの三人で組むことになってしまった。

綿谷さんも郁もレベルが高く、僕は全く追い付けなかった。

それに二人のスター性や自己主張の強さには至らず、僕はそこから抜けることを決意した。

「ごめん、郁」

「アイドル、辞めないんだよな?」

「ああ」

「じゃあ、今日から本当のライバルになるるんだな」

「そうだな」

「僕らは負けないからね」

「望むところだよ」




それから『perfect』は不動のトップに君臨し続けている。

僕たち『rainbow』とまるで何かが違う。

最近、僕はそれに気がついたんだ。

でも、リーダーである景斗は気がついていない。

だから少しヒントをやってくれ、と郁に言われた。

僕の考えと郁の考えは一致していた。

『rainbow』に足りていない。

景斗に足りていない部分。

それは、スター性だった。