「棚部さん、瀬川くん、早見くん、今日もいい演技期待してるよ!」

「「「はい!」」」

監督さんは三人と雑談していた。

なんか、棚部さんと景斗くんの距離近くない?

嫌だな、もっと離れてよっ。



監督さんと話し終わると、冬真くんは台本を読んでいた。

景斗くんと棚部さんは二人で話しているようだった。

「瀬川くん、ネクタイ曲がってる」

棚部さんは景斗くんのネクタイを直した。

「さんきゅー」

「いえいえ」

なんで、棚部さんにデレデレしてるの?

景斗くんの彼女はわたしだよ?



昨日同様、監督さんは掛け声を出した。

「本番五秒前、四、三……」




『ミサキ、俺の彼女になってくれねぇか?』

『はい』

レイはミサキを抱き寄せ、キスをする。

『……っ』

キスが終わると、次はミサキからキスをした。

『愛してるよ、レイ』

『ああ、俺も愛してる』

二人はさらにキスをする。




「カット!!!
棚部さん、瀬川くん、二人ともアドリブいいよ!息ぴったりだった!」

こんなの見たくなかった。

三回もキスするなんて……。