「赤いランプが点いている場所にたどり着くだけじゃダメなの。

その後にスイッチを時間内に探して、押さなくちゃいけないから。

だから、私たちが本当にするべきことは、赤いランプが別の場所に変わるのを待つことよ。

それで赤いランプが別の場所に点いたその瞬間に、私たちはその場所に走り出すの」



晴江が自信満々にそう話すと、晴江が話したその内容が唯一無二の正解のように聞こえてくる。



晴江はルックスだけを見るなら、アイドルやタレントに負けないくらいの美少女だ。



細身でスラリと背が高く、黒髪のストレートロングがよく似合っている。



そして透き通るような白い肌に、二重の大きな瞳にちょっと薄めの唇は完璧なまでに美しい。



神様はきっと晴江に他の人よりもたくさんの優れたものを与えていたが、たった一つだけ晴江に与えなかったものがあった。



それは人を思いやる優しい心だ。



晴江には普通の人なら持ち合わせている優しさを一ミリも感じさせない女だった。



(正直、晴江はすごいと思う。

きっと私たち平民とは違って、特権階級に生まれるべくして生まれてきた人なんだ。

でも、私はときどき晴江の冷たい瞳に怖くなる。

晴江に敵対したら、きっと地獄を見るだろうって……)