音楽室の片隅で加藤先生を見つけた峯岸凉子と佐伯麻耶は加藤先生に詰め寄り、訴えかけるように話しかけた。



「加藤先生、私たちはどうすればいいんですか?

登校してきて急に紗栄子の自殺を聞かされたかと思ったら、今度はわけのわからないデスゲームに参加させられているなんて……。

紗栄子がいじめで自殺したからって、私たちを憎むのは間違ってる!

私たちだって、本当はいじめがなくなればいいと思っていたのに!」



学級委員長の凉子は今にも泣き出しそうな顔で加藤先生にそう言うと、加藤先生の返事を待っていた。



でも、加藤先生は凉子の期待とは裏腹に何も答えず、凉子から目をそらした。



(オレが教師だからって、何でも解決できると思うなよ。

大人が子供を守るなんて倫理観は、自分が安全地帯にいるときだけ成り立つんだ。

オレだって、どうにかしてこの学園から逃げ出したい。

でも、どうすればそんなことができるんだ?)