智恵が紗栄子のことを考えながら、図書室の隅で身をかがめて怯えているとき、急に目の前でマイページが開き、チャットの画面に切り替わった。



智恵はそのことにドキリとしながら、紗栄子から送られてくるメッセージを見つめていた。



『私は二つのリベンジに成功した。

犠牲者は安達悟、山上純一。

奴らは制裁の槍の一撃で、この世から消え去った』



紗栄子からの衝撃的なメッセージを見て、智恵の心臓が早鐘を打ち始めた。



リベンジゲームは紗栄子の復讐のために3年2組の生徒を殺すゲームだということはわかっていた。



でも、それを頭で理解することと、それが本当に現実になることではわけが違う。



さっきまで同じ教室の中で普通に生きていた二人が、あっさりと殺されたことは、智恵にとって悪夢でしかなかった。



(紗栄子の復讐が本格的に始まったんだ……。

でも、どうしてこんなことに……。

復讐なんてしても、紗栄子は幸せになれないのに……)



紗栄子からのメッセージが届いた一分後、チャット画面に安達悟と山上純一の死んでいる画像が映し出された。



智恵は血まみれになって死んでいる二人の姿を見ると、ゾッとして体の震えが止まらなかった。



(私の知っている紗栄子と今の紗栄子は全然違う。

紗栄子は復讐のことだけを考えている殺人鬼になったんだ……)



智恵が恐怖に包まれ、死が頭の片隅をよぎったとき、チャット画面にまた新しいメッセージが送られてきていた。