リベンジゲームが始まり、3年2組の生徒たちが散り散りになって西条学園中学を逃げ回っている中で、智恵は図書室の本棚の裏に隠れ、早くこのリベンジゲームが終わることを願っていた。



智恵はこのデスゲームを終わらせるのには、校門を開けるスイッチを見つけ、そのスイッチを押してから校門を目指して逃げるしかないことを理解していた。



でも、智恵には殺人鬼と化した紗栄子がうろついている西条学園中学を歩き回る勇気はなかった。



臆病な性格の智恵はひたすらに怯えながら、誰かがこのリベンジゲームを終わらせてくれることを願っていた。



(朝が来ればこのリベンジゲームは終わる。

それまで紗栄子から逃げればいいんだ。

私には学園の外に逃げ出す勇気はない。

他にこのリベンジゲームを終わらせる方法は……)



智恵はそう思ったあとに紗栄子の死がリベンジゲームを終わらせる手段の一つだと思い出していた。



そして、クラスメイトの誰かが紗栄子を殺してくれることを想像したとき、智恵は自己嫌悪から吐き気がして口を押さえた。



(私はいじめられている紗栄子を助けられなかっただけじゃなくて、紗栄子の死を心のどこかで願ってる……。

紗栄子、私は裏切り者だよね。

私たちは友達なのに……)



共に物静かで、おとなしい性格の智恵と紗栄子は気が合って、いつの間にか友達になっていた。



そんな二人は互いに信頼していたはずだった。



でも、教室内の環境の変化が二人の仲を強制的に引き裂いた。