(小原紗栄子……。

オレはどんな気持ちでお前がいじめを受けていたかを知らない。

でも、オレが殺されるって、おかしくないか?

オレはお前に殺されるほどの何かをしたのか?)



紗栄子は右手に持っている制裁の槍を悟の頭上で高々と掲げた。



そして槍先の照準を悟の額に定めると、ためらうことなくその槍先を一気に悟の額に振り下ろした。



(ウソだろ……。

止めろ!)



悟の心の叫び声は紗栄子には届かず、紗栄子が振り下ろした制裁の槍は、悟の頭を貫通していた。



悟の額からは鮮血が飛び散り、その瞬間に悟は意思を持たない肉の塊へと変わってしまった。



悟を殺し、返り血を浴びながら不気味に笑っている紗栄子に、人間らしさは最早なかった。



今の紗栄子は復讐を果たすためだけに蘇ってきた残酷な殺人鬼だ。