傲慢で人として大切なものを失っている生神だったが、彼が世界に残した功績と彼の眩いばかりの才能を思うとき、彼の意見を否定できる人はいなかった。



ただ不幸なのは、知らぬ間に生け贄に指名されてしまった西条学園中学の生徒である。



科学者チームのメンバーたちは生神が作り出した生物たちを知っていた。



それゆえ、西条学園中学の生徒たちが生きて家に帰れるイメージがわかなかった。



「私は小原紗栄子が望む通り、西条学園中学を血の海に変えてやろう。

世の中に地獄があるからこそ、私たちは今の自分を幸せに思えるのだ。

私は西条学園でこれから起きる惨劇を映像として残したい。

これも科学の実験だと言えば、必ず許可は下りるだろう」



紗栄子が生神亮治に送った遺書が西条学園中学を地獄に変えようとしていた。



生神は人の死を誰よりも愛する科学者だった。



命を複製できる生神は、死の瞬間以外に命の尊さを感じることはできなかった。