佐伯一馬と田口祐子は生神亮治の研究所で、リベンジゲームの一部始終をモニターで見ていた。



3年2組のクラスメイトに復讐を誓って蘇った小原紗栄子は、最後にただ一人、野村智恵だけを殺すことができなかった。




そして紗栄子は今までの事例と同じように、エデンを注入されてから約12時間後に脳萎縮を起こしてこの世を去った。



佐伯一馬は一人の生物学者として、このわかりきっていた悲劇の結末に深く心を痛めていた。



(小原紗栄子はエデンの副作用でこの世を去った。

でもこんな哀れな最後を小原紗栄子は望んでいたのだろうか?

オレは生神先生の命に対する考えを否定したい。

生神先生は突出した才能のある科学者だけど、人の命をおもちゃにするサイコパスだ。

オレたちのような命を扱う科学者は誰よりも命の価値をわかっていなくちゃいけないのに……)



もしもクローン人間たちの命が、あの小原紗栄子のクローンのように扱われるなら、命の価値はこれからも下がり続けていくに違いない。



復讐のためだけに時間を限定して蘇ってきた紗栄子の命は、まるで使い捨てのおもちゃのようだ。



奇跡の科学者、生神亮治の輝かしい才能と実績に惹かれて生神亮治の研究所で働き始めた一馬だったが、今では生神のサイコパスぶりを憎んでいた。