午前5時を過ぎ、日の出の時刻まであとわずかに迫っていた。



智恵は日が昇るそのときを気にしながら、暗い図書室の隅でマイページを開き、リベンジゲームの状況を調べていた。



(私以外に生き残っている3年2組の生徒はいるの?

マイページを開けば、クラスメイトが死んだ情報ばかりが入ってくる。

紗栄子は何人の人を殺したの?

私は日の出の時刻までちゃんと生きていられるの?)



リベンジゲームのゲームクリア条件にある『日の出まで、紗栄子に殺されずに逃げきること』を智恵が満たすまで、あと数分だろうと思われた。



智恵はこの恐ろしいリベンジゲームから抜け出したくて、日の出の時刻が早く来てくれることを期待しながら、神に祈るように目を閉じた。



紗栄子と智恵は、紗栄子が自殺する直前まで友達だった。



智恵はなかなか口に出せなくとも、心の中でいじめられている紗栄子を心配していたし、紗栄子を助けたいと思っていた。



でも、そんな智恵もクラスの女王、村上晴江の圧力に屈して、最後は紗栄子を裏切った。



智恵にとってその決断はやむなく下した決断だったが、紗栄子は自分を裏切った智恵を深く憎んでいるはずだった。