死んだと思っていた紗栄子に足首をつかまれた晴江は、息が止まるほどに驚き、振り返った。



するとそのとき、瀕死の紗栄子が晴江の足首を強烈な力で引っ張って、晴江は地面にうつ伏せに倒れ込んだ。



(どうして紗栄子が生きているの?

私は紗栄子の心臓を貫いたはずなのに……)



晴江は予期せぬ出来事にパニックになっていた。



晴江は紗栄子から伝わってくる殺意に恐怖を感じ、まるでゾンビのように死なない不気味な紗栄子を見つめていた。



(生神亮治は紗栄子に何をしたの?

心臓を貫いても死なないなんてあり得ない。

どうして? どうして?)



血まみれの紗栄子が倒れた晴江にのしかかって、パニックになっている晴江の首を絞めつけた。



紗栄子の強い力で晴江の気道は塞がれ、呼吸が止まり、死への恐怖が晴江の心を支配していた。



(どうして?

どうして私が紗栄子なんかに……。

私は特別なはずなのに……。

選ばれた人間のはずなのに……)



晴江の呼吸が止まってから数分後、晴江は何も感じなくなっていた。



紗栄子はようやく目的を遂げると、まるで眠るようにその場に倒れて目を閉じた。



まだ何人かのクラスメイトに復讐を終えないままに。