(紗栄子の左腕があり得ない方向に曲がっている。

もしかして紗栄子の左腕は折れているの?

それに紗栄子の顎からたくさんの血が流れている。

紗栄子はもしかして誰かに顎を砕かれた?)



紗栄子の姿をよく見ると、紗栄子は傷つき満身創痍に見える。



でも、あのバケモノじみた紗栄子にそんな重傷を負わせることができる人がいるだろうか?



晴江はそう思ったあとに、暴力だけが自慢のクラスメイトを思い出していた。



(もしかして紗栄子をこんなにもボロボロにしたのって、虎治なの?

だとしたら紗栄子と戦った虎治は死んだの?

紗栄子のくせにあの虎治を?)



晴江の記憶の中にある小原紗栄子は、弱くて、いじめに対して抵抗もできず、いつも死にたそうな暗い顔をしていたあの紗栄子だ。



そんな紗栄子が特権階級の人間にまで牙を向くとは生意気過ぎる。



凡人はどこまでも凡人のままで死ねばいいのに。



晴江はそう思うとシャイニングサーベルを握りしめ、満身創痍な紗栄子をにらみつけた。



そして晴江はこのリベンジゲームを終わらせるために、小原紗栄子に言い放った。



「聞きなさい、小原紗栄子。

お前のような取るに足らない存在がこの私に逆らおうなんて、百年早い。

お前は私に逆らったことを悔いながら、もう一度、死んでいくんだ。

私がお前をあの世に送ってやる。

覚悟しな、小原紗栄子!」



紗栄子は晴江の話を聞き終わると、猛然と走り出り、晴江へと向かってきた。



そして紗栄子はたくさんの過去の憎しみを晴らすために、晴江をにらみながら制裁の槍を振りかぶっていた。