(私は晴江に付き従っているけど、晴江の傲慢さが嫌い。

でも、晴江のカリスマ性を私は知っている。

晴江はすべてのことを思い通りにしてきたクラスの女王だ)



早苗は迷いながらも晴江のカリスマ性を信じてみようと思った。



晴江とならこの西条学園中学を出ていける。



晴江がリベンジゲームを終わらせるから……。




「菜々美、行こう。

晴江のところに」



早苗がポツリとそうつぶやいたとき、菜々美は目を丸くして早苗を見ていた。



「本気で言ってるの?

あんなバケモノに勝てるはずがないよ。

冷静になればそれくらいわかるでしょ」



「あのバケモノに勝てないって、私もさっきまで思っていた。

でも今は、晴江ならきっとどうにかしてくれるって思ってる。

私は晴江を信じるよ。

晴江はクラスの女王だから」



そう言って、早苗は晴江に協力するために晴江の方へと歩いていった。



菜々美はそんな早苗を必死に呼び止めようと、大きな声で叫んでいた。



「そっちに行っちゃダメだよ!

絶対に生きて戻ってこれない!」



菜々美の声は早苗に届いていたが、早苗はその声に振り返らなかった。



そして早苗は番犬ルドルフと晴江が対峙するのを見つめながら、初めて晴江と会った日のことを思い出していた。