(どうしてこのオレが紗栄子なんかに……)



虎治はそう思って紗栄子に何かを言おうとしたとき、口から血を吐き、手にした金属バッドを床に落とした。



そしてケンカ無敗だった自分にもついに敗北のときが来たことを虎治は知った。



『原島虎治、お前にも地獄を見せてやる。

お前には残酷な死をくれてやる!』



虎治は目の前に現れたチャットのメッセージをぼんやりと見つめた後に、完全に意識を失った。



紗栄子はそんな虎治を床に投げ捨て、仰向けに倒れた虎治を見下ろすと、憎しみに目を血走らせながら虎治の顔面に制裁の槍を突き刺した。



そしてその残酷な行為は一度だけでなく、虎治の顔の原型がなくなるまで何度も何度も繰り返された。



紗栄子は顎と左肩と左腕の骨を虎治のバッドで砕かれていた。



でも紗栄子はそんなことの激痛をも忘れているかのように、制裁の槍で虎治の肉体に憎しみの痕跡を残し続けた。



紗栄子は息が上がるほどに虎治の体を傷つけると、ようやく虎治から目を離し、校舎二階の廊下を歩き出した。



まだこの西条学園中学の中で隠れているクラスメイトたちを殺すために。