紗栄子は制裁の槍を片手に夜の校舎を歩いていた。



紗栄子は遺伝子操作で強力な力を手に入れていたが、それでも生前の記憶はそのまま残っていて、西条学園中学の校舎のいろいろなところに思い出があった。



紗栄子は晴江からのいじめが始まる前は、ごく普通の中学生だった。



小柄で笑顔がかわいらしい紗栄子が笑うと、好意的に思う男子生徒も少なからず存在していた。



紗栄子は大人しくて目立たなかったが、黒髪ショートカットの小柄な美少女だったから。



そんな紗栄子の人生があんな風に暗転するなんて、紗栄子自身も想像すらしていなかった。



飛び抜けた才能が一つもない自分は、平凡に生きて、誰とも争わず、叶いそうな小さな夢を持とう。



それが自分の身の丈に合った生き方で、自分はそんな風にしか生きれない。



そんな謙虚な思い持った美少女が復讐の鬼になって蘇ってくるなんて、誰が想像していただろう。



紗栄子は自分が受けた屈辱の数々を胸に3年2組の生徒を皆殺しにすることだけを考えていた。



自分があんなにいじめられて、悔しくて、悲しくて、不幸だったのに、クラスメイトだけが幸せになるとしたら、理不尽だし、許せない。



紗栄子は制裁の槍を握りしめて、耳を澄まし、校舎内のどこかに隠れている生徒たちを探していた。



隠れている生徒を見つけしだい、この制裁の槍で串刺しにして殺してやる。



そんなことを思いながら。



紗栄子の復讐に残されている時間はあと数時間しかなかった。



なぜなら、日の出と共にこのリベンジゲームは終わるから。



紗栄子はタイムオーバーなんていう下らない理由に、大事な復讐を邪魔されたくなかった。



紗栄子は校舎の屋上から飛び降りて自殺するとき、心の中で誓っていた。



憎き奴らに復讐できたら、自分はもう何もいらない。



復讐だけが自分のすべてだ。