「中学生がシャイニングサーベルを持ってるなんて誰も思わないよね。

普通なら自衛隊くらいしか持っていないはずだから」



晴江はそう言ったあと、シャイニングサーベルの柄を早苗と菜々美に渡した。



そして自らもシャイニングサーベルの柄を握りしめ、柄についているボタンを押すと、青く光る電撃の剣が現れた。



晴江はその電撃の剣を見せびらかすように胸の前に持ってくると、得意気に二人に話し始めた。



「これはね、お父さんが私にくれたの。

もしものときはこれで自分の身を守りなさい。

晴江の命は平民たちの命の一万倍、大切だからって」



早苗は晴江の話を聞いて、晴江の傲慢で高飛車な性格の理由の一部がようやくわかった。



晴江は特権階級の家に生まれ、自分が特別な人間だという教育を幼い頃から受け続けてきたのだ。



だから晴江は平民を見下し、自分だけが特別な存在だと心の深い部分で信じきっていた。



「このシャイニングサーベルで、バケモノ犬を斬って、西門を出ればゲームクリアよ。

私にはできるわ。

絶対に!」



晴江というスラリと背が高い細身の美少女は、いつも自分の高い能力を信じていた。



たとえ、凡人共が二の足を踏む場面でも、自分なら正面突破で目の前の危機を切り抜けられると。



そんな晴江の自信に満ちた冷たい目を見るとき、早苗は絶対に晴江のようにはなれないと思っていた。



実際、シャイニングサーベルを渡された早苗は非日常的なあり得ないシチュエーションに震えていた。



この武器は簡単に人も殺せる。



そして晴江なら本当に人を殺しかねない。