紗栄子はその日、自殺することを決意した。



自分の未来には何も良いことがないと思えたから。



でも、自分が死んでから、あのクラスメイトたちが幸せそうに生きるとしたら許せない。



自分は死ぬほど悩んで、苦しんだのに……。



もしも自分に絶対的な力があったら、あいつらに復讐ができるのに。



もしも自分が強かったなら……。



もしも自分に特別な力があったなら……。



紗栄子のその強い願いは、紗栄子の頭の中に奇跡の科学者、生神亮治の存在を思い出させた。



生神亮治は死者をも蘇えらせ、特殊な能力を与えられると言われていた。



紗栄子はそんな生神に最後の望みを託すために、自分の思いを遺書に書いて、生神に送ることを決意した。



もしかして、あの生神亮治なら死に行く自分に特殊な能力を与えてくれるかもしれない。



弱い自分に復讐のチャンスをくれるかもしれない。



そんなことを考えながら……。



そして紗栄子は西条学園中学の校舎の屋上から飛び降りた。



この学園で起きたすべてを憎んで……。