『智恵、聞いて欲しい。

私、死にたいくらいにつらいんだ。

ねぇ、智恵。

智恵は私の味方だよね』



紗栄子は泣きながら書いたその短い文章に自分の気持ちのすべてを込めた。



世界中が敵に思える今の状況でも、智恵だけは自分の味方だから。



智恵だけは自分に優しい言葉をかけてくれるはずだから。



紗栄子はしばらくの間、自分が送ったメッセージに返信が来るのを待っていた。



そして辺りが暗くなり、寒さが紗栄子の体を包み込んだ頃、ようやく智恵に送ったメッセージに既読がついた。



智恵は送られてきたメッセージを読んで、自分の気持ちに気づいてくれたに違いない。



紗栄子はそんなことを思いながら、智恵からの返信を待った。



この世の中で、智恵だけが自分に優しい言葉をかけてくれると信じて。



でも、智恵から送られてきたメッセージは紗栄子の予想とは違っていた。



紗栄子はそのメッセージを読み終えて、この世に自分の味方は一人もいないことに気づいてしまった。



『ゴメン、紗栄子。

これからメッセージを送ってこないで。

私はもう紗栄子の力になれないよ』



紗栄子は智恵から送られてきたその短いメッセージを涙でにじんだ視界の中で見つめていた。



自分にはもう何もない。



そんなことを思いながら……。