(どうしてこんなことになるの?

私は何も悪くないのに……)



紗栄子がどんなに激しく抵抗しても、非力な紗栄子は辰雄と誠二の体を押しのけられず、事態を少しも変えられなかった。



辰雄と誠二は、必死で泣き叫ぶ紗栄子を面白がりながら、紗栄子の服を引きちぎっていった。



(誰か助けて!

私はこんな理不尽な暴力に負けたくない。

どうして私が……。

どうして私だけが……)



その後の紗栄子の記憶は曖昧だった。



ただ必死になって、自分の体を守ろうとしたことだけは何となく覚えていた。



でも、必死の抵抗もむなしく性の対象として紗栄子が体を奪われたとき、紗栄子は絶望の暗闇の中で、抵抗することを止めてしまった。



紗栄子は自分に悪意を向けてくる者たちの力に屈服してしまったことが悔しかった。



そして、やっぱり自分はこの学園で最下位の人間なんだと思い、そんな自分の不幸を笑って、他のクラスメイトたちは幸せを感じているんだと思うと、幸せなクラスメイトたちに憎しみが沸いてきた。



いつの日か自分をいじめた人たちに復讐したい。



自分が受けた屈辱を何倍にもして返したい。



いや違う。



私をいじめた人だけじゃなくて、いじめを見て見ぬフリをしたクラスメイトも同罪だ。



全員が地獄に落ちればいい。



自分が受けたこの苦しみの何倍もの苦しみを受けて。



自分はみんなが大嫌いだ!



紗栄子が絶望の中で脱力し、立ち上がることもできないまま、時間だけが過ぎていった。



クラスの不良共は自分の体の中に欲望を吐き出し、満足気な顔で笑っていた。



そして紗栄子がそれを見た瞬間に、紗栄子の心の中で何かが壊れた。



自分はもう生きていても仕方がないって……。