紗栄子はその日、午後5時が来るのが待ち遠しかった。



そのときが来れば、自分のすべてがガラリと変わる。



担任教室の加藤に相談しても、友達の智恵に相談しても、変わらなかった自分の未来が。



その日も晴江たちは紗栄子に嫌がらせをしてきたが、紗栄子はつらいいじめを耐え抜いた。



このいじめも今日で終わりなはずだから。



あの原島虎治が自分を救ってくれるはずだから。



紗栄子はそう信じていた。



そして放課後になったとき、紗栄子は早く虎治と約束している午後5時になって欲しいと思った。



自分の未来がようやく変わり、いじめられっこの自分に魔法がかかる。



そのとき自分は、もうみじめないじめられっこの紗栄子じゃなくなる。



原島虎治の力を借りて……。