「晴江、スイッチなんて見つからないよ。

本当にこの教室にスイッチなんてあるのかなぁ?」



暗い教室の中で必死にスイッチを探しながら、早苗が迷いを口にした。



「確かに早苗の言うとおりかも……。

もしも私たち全員があの生神亮治に騙されているとしたら……」



早苗の考えに合わせるように菜々美がそう言ったとき、晴江が二人の考えを真っ向から否定した。



「迷いは捨てな。

必ずこの教室にスイッチはあるんだ。

生神亮治はセコいウソなんてつかないよ」



晴江がそう言って、この教室にスイッチがあると断言すると、早苗と菜々美はさっきまであった迷いを捨てて、必死にスイッチを探し始めた。



(私にはわかる。

生神亮治はこのリベンジゲームのルールを覆すようなウソをつかない。

だってゲームのルールにウソがあるなら、このゲームを生神が始めた理由がわからなくなってしまう。

生神は紗栄子みたいな哀れで弱いいじめられっこがバケモノになって蘇り、決められたルールの中で全員に復讐を果たせるかが見たいんだ。

生神は絶対的に紗栄子の味方をしてるわけじゃない。

だからこんなにもややこしいルールを作ったんだ)



晴江は自分のその推理に絶対の自信を持っていた。



なぜなら、生神亮治はこの残酷な殺人ゲームを紗栄子の復讐のストーリーとして楽しんでいると思うからだ。



作家を目指している晴江には、そんな生神の気持ちが何となくわかっていた。