「ねぇ、紗栄子。

私たちが学校で話せない分、私にメッセージを送ってきて欲しいの。

そしたらちゃんと返事を返すよ。

私たちは友達だから」



智恵がそう言うと、紗栄子は涙を拭ってようやく笑った。



「ありがとう、智恵。

智恵だけだよ。

こんなときでも私の味方でいてくれるのは」



「感謝なんていらないからね。

友達なら当たり前のことだから」



「智恵がいてくれたおかげで、私は一人にならずに済んだよ。

私、つらいことや悲しいことがあったら、智恵に相談させてもらうね。

私には智恵しかいないから……」



その日の帰り、紗栄子と智恵は久しぶりに二人で帰った。



それはまるで、かつての当たり前の日常が戻ってきたかのようだった。



このときの紗栄子は、数週間後に二人の友情が壊れるとは思ってなかった。



紗栄子はいつまでも智恵と友達でいられると信じていたから……。