梨華と宏和は1年6組の教室に逃げ込みつかの間の安心を得ていたが、殺人ネズミがものすごい勢いでドアに体当たりしてきて、その勢いが収まりそうになかった。



1年6組の教室のドアは何度も歪み、その度にドアが破壊される恐怖が二人を襲った。



梨華はドアの向こう側にいる殺人ネズミの存在に怯え、少しずつドアから遠ざかった。



「宏和、ドアが歪んでいるよ……。

殺人ネズミはまだ私たちをあきらめてないんだ……」



「心配するな。

オレがいる」



宏和はそう言って、震えている梨華の肩を優しく抱いた。



「でも、宏和……」



梨華が怯えた声でそう言ったとき、木製のドアに亀裂が入った。



梨華はそのことに気づくと、ゾッとして、恐怖で顔をひきつらせていた。



「ウソだろ……。

体当たりの衝撃でドアが……」



宏和がそうつぶやいたあと、殺人ネズミの体当たりで、教室のドアに穴が開いた。



そしてそのドアの穴から殺人ネズミの赤い瞳が教室の中をのぞき込んでいた。