(このままじゃダメだ……。

私は晴江さんのことが嫌いだけど、晴江さんを敵に回してはいけない。

どうにかして晴江さんの機嫌を取らなくちゃ……)



紗栄子は自分の弱さを自覚して、晴江と敵対しないように言葉を選んで話し始めた。



「晴江さん、昨日のことはすいませんでした。

私の不注意で晴江さんに嫌な思いをさせてしまって……。

でも、もう許してくれませんか?

私は本当に反省していて……」



できることなら、紗栄子は晴江なんかに謝りたくはなかった。



でも、自分と晴江の力関係を考えたとき、紗栄子は悔しくても自分の気持ちに折り合いをつけるしかなかった。



「謝るとか許すとか、そんなことはどうでもいいの。

私はあなたがしたことをもう気にしてないから」



紗栄子は晴江のその言葉に期待した。



もしかしたらこれ以上、晴江たちに絡まれずに済むかもしれないと。



でも、紗栄子のそんな思惑は見事にはずれ、紗栄子が予想して以上に事態は最悪な方へと向かっていた。



「私はね、学園生活の暇つぶしにいじめのターゲットが欲しいのよ。

よろこびなさい、紗栄子。

特別にあなたをいじめのターゲットに選んであげる」