「さぁ、どうしたの?

できないの?」



晴江はそう言うと、紗栄子がどんな態度を取るかを楽しむように紗栄子を見ていた。



そして晴江のグループの早苗と菜々美も困っている紗栄子を見て、うれしそうに笑っていた。



紗栄子はそんな意地の悪い三人を前にして、悔しくて仕方がなかった。



晴江は自分が被害者だから紗栄子が何も言い返せないと思っていた。



でも、紗栄子は晴江に言われた通りに土下座はせずにこう言った。



「晴江さん、私が不注意で晴江さんにジュースをかけてしまったことは謝ります。

でも、土下座なんてできません」



「へぇ、そうなの。

で、その理由は?」



晴江が意地悪にそう言うと、紗栄子は小さい声で晴江にこう言った。



「それは……、自分がしたことが土下座するほどのこととは思えないから……。

私はちゃんと謝ったのに……」



「おい、紗栄子。

晴江に口答えするつもり?

晴江が土下座しろって言ったら、紗栄子は黙って土下座してればいいんだよ!」



早苗は晴江に対して生意気な態度を取った紗栄子をにらみながら怒鳴りつけた。



紗栄子はそんな早苗が怖かったが、決して態度を変えようとはしなかった。



そんな紗栄子を見て、早苗はさらに何かを言おうとしていたが、そんな早苗を晴江は制した。