「虎治君、紗栄子をぶっ殺すって、まさか……」



辰雄はそうつぶやいて、狂気に満ちた目をしている虎治を見ていた。



原島虎治は身長185cm、体重95キロの巨漢で、そんな虎治に近づくと、普通の人は脅威を感じた。



そして虎治の短髪の茶色い髪やつり上がった鋭い目を見れば、虎治が不良の中でも危険な部類の人間であることが説明抜きでも伝わった。



そんな虎治が大好きなことは、他人を破壊するほどの暴力だ。



虎治は行き過ぎた暴力行為で何度も更正施設に入れられそうになったが、虎治が特権階級の一族であったために、更正施設送りを免れていた。



辰雄は虎治のグループに属していたが、心の中で虎治の狂暴さを恐れていた。



自分も不良ではあるが、虎治のような絶対的な悪には決してなれないと……。