「ここって2年A組の教室だよね? なんでこんなところにいるんだろう」


そう言ったのはC組の真弥だった。


真弥はさっきから落ち着かない様子で教室内を見回していて、その度に綺麗に束ねられたポニーテールが揺れる。


「わかんないけど、とりあえず出ようぜ」


同じC組の貴央が真弥の手を握りしめてドアへと向かう。


そういえば2人は付き合ってるんだっけ。


貴央は明るい茶色の髪色をしていて、毎度毎度先生に怒られている。


けれど本人は『地毛です』と言い張っているという噂だ。


間近でその髪を見てみると、生え際だけ少し黒くなっている。


やっぱり、地毛というのは嘘みたいだ。


「珠!」