愛が重くて何が悪い!

強気な口調のわりに、ボロボロな悠音。


俺は立ち上がって悠音の手を引く。


「ちょっ、九条くん?」


焦ってる。


グラウンドでは借り物競走。
誰かが「好きな人」を引いたのか会場全体が湧いている。
女の子をお姫様抱っこして、1番でゴール。
マンガかよ、っていう。
俺らはマジだよって。


中庭に来た。さっきの悲鳴も何も、ほとんど聞こえない静かなとこ。
悠音を誰から見えない死角に追いやると、何も言わないうちに、何も言わせずにキスをする。可愛げも何もないような、深いやつ。


「ん……ちょ、っ」
「静かにしなきゃ誰か来るかもよ?」


悠音は甘い吐息を押さえ込もうと、手に力が入る。
ゆっくり唇を離すと、悠音は顔を赤くさせて俺を見上げた。


「な、に」
「ごめんね、彼女いるくらいは、言えばよかった。ほんとにごめん。
悠音のこと考えて動いてるつもりなんだよ、でも全部空回りしちゃってさ」