英語の課題を前に上を向く俺。
現実逃避。
……ちょっとだけ、悠音の邪魔しに行こうかな。
そんなことしたら、うざいって思われちゃうかな?そんなのやだ……。


はぁ……テスト期間、厳しい。


ガチャっと、リビングのドアが開く。
悠音は休憩タイムみたいだ。


「璃汰」
「んー?」


なんでもないみたいに答える。
悠音が視界に入るだけでこんなにも幸せ。


「テスト終わったら映画見に行かない?
あすかちゃんが主演の映画なんだけど……私見たいなって」


あすか、とは。
悠音の追っかけてるモデルさん、スタイル抜群の可愛い子らしい。
俺的にはただの他人でしかないから別になんだっていいんだけど。


今年からうちの学校に新設された芸能科に通っていて、門が違うから基本的に見かけることはないけど、たまにいる。
まぁでも悠音が好きだから俺も好きだよ。
だから顔もちゃんと覚えてる。
同じやつと付き合ったり別れたりを繰り返す子らしくて……ってそんなのどーでもいい。